第十六話「ゲーム」

とある森の中…少し迷いつつ歩いている一同。
アメ「な~、本当にこっちでいいのか?」
アメモンは、サンダーの方を向いて言った。
サンダー「…一応、こっちの方角だよ。…出口は。」
グミ「…方角が一緒でもね~。」
サンダー「ヘーキだよ!出口のあるほうに向かっていけば、いつかは出れるもん!」
サンダーはそう言いながら走った。…………そして、大きな木に真正面からぶつかった。
オルト「…方角だけが合っててもなぁ…。」
オルトは、苦笑しながら言った。
アメ「障害物がよけられなきゃイミねぇし。」
チョコ「…気をつけなきゃダメだよ?サンダー。…サンダーはただでさえ、目が悪くって障害物が分からないんだから…。」
サンダー「…っ違うもん!おれが悪いんじゃないよ!!あんなトコに木があるのがいけないんだ!!」
サンダーは、早口で言った。
オルト「あー、ハイハイ。…もうその言い訳は聞き飽きたから。」
オルトは、呆れて言った。
ギンギライガー「…サンダー、動かないものに文句を言うのはナシだって;」
ギンギライガーは、苦笑しながら言った。
サンダー「ハ~イ…。」
サンダーは、悲しそうに言った。
ニナ「…それにしても…どうする?」
ゲンキ「…どうするって言ったって…回り道するしかないだろ?」
ホリィ「……そうね。出口のある方角は木で塞がっちゃっているものね…。」
…そう、サンダーの進もうとしていた方角には、大きな木が立ちふさがっていた。
サンダー「…ゴメン…役立たずで。」
サンダーは落ち込んで言った。
ゲンキ「そんな事ないって。…出口の方角や方向が分かるだけで大助かりさ。」
サンダー「…そう…かな。」
ニナ「そうよ。方角さえ分かれば、地図だってあるんだし、道に迷う事だってそうないわよ。」
ホリィ「…さ、行きましょ。…とりあえず、この木が途切れる所まで行って、もう一度出口のある方角に進みましょう。」
…そうして、一同はまた歩いて行った。

しばらく後…
アメ「…あれ?…なぁ、何か聞こえねぇか?」
一同「え?」
ハム「……そう言われてみれば、確かに…。」
サンダー「ホントだ。声…するね、すすり泣く声。」
グミ「…サンダーってさ~、ほんっと~に~、耳良~よね~。」
チョコ「…そう言えばそうだね。…もう、猫並みって言うか。」
サンダー「チョコモン?おれキツネだからね?猫じゃないよ?」
サンダーは、怒りのオーラを漂らせつつ、笑顔で言った。
チョコ「あ…いや、そう言うこと言いたかったんじゃなくって……その、猫って犬より耳良いのに、サンダーはアメモンと同じくらい耳良いじゃない。…だから、何でかなって…。」
サンダー「…おれさ、目ぇ見えないじゃん?だから、他の感覚が鋭くなってきてんだ。」
チョコ「そうなんだ…。」
ギンギライガー「…取敢えず、声のする方へ行ってみないか?」
ニナ「それもそうね。…気にもなるし…。」
そうして一同は、声のする方へ歩いて行った。

…すると、小さな男の子が、しゃがみこんで泣いていた。…そう、聞こえていた声は、その子の物だった。
ホリィ「どうしたの?大丈夫?」
ホリィは、その男の子に話しかけた。
男の子「…だれ?」
その男の子は、顔を上げて言った。
ホリィ「私はホリィ。」
ゲンキ「おれは元気印のゲンキだ。」
…などと、一同は自己紹介をした。
男の子「ふぅん…ぼくは、チャッキーって言うんだ。」
その男の子は、首の辺りに赤い蝶ネクタイをした、チャッキーと言うモンスターだった。
チョコ「…ねぇ、キミはどうして泣いてたの?」
チャッキー「…ぼく、独りぼっちなんだ。…ブリーダーも、友達も居ないし……だから、寂しくて…。」
チャッキーは、俯いて言った。
ゲンキ「…そうなんだ…。」
モッチー「…じゃあ、モッチー達が友達になってあげるッチー♪」
チャッキー「本当?!…じゃあ、一緒に遊んでくれる?」
一同「うん、いいよ。」
チャッキー「やった~vv」
チャッキーは、飛び上がって喜んでいる。
サンダー「……ねぇ、アイツと遊ぶの、やめた方が良いと思うよ?」
一同「え?」
ホリィ「…何故…そう思うの?」
サンダー「…だって…何か嫌な予感がするから……。」
サンダーは、真剣な顔をして言った。
グミ「え~?…サンダーの思い過ごしじゃな~い?あの子、そんな悪い子には見えないけどな~。」
チョコ「そうだよ。…あの子、まだちっちゃいよ?…最近戦ってばっかだったから、そんな気がするだけだよ。」
サンダー「そうかな…。」
サンダーは、少し自信無さ気に言った。
チャッキー「み~んな~!こっちで遊ぼうよ~vv」
一同が気付くと、チャッキーはかなり遠くに行っていた。
ゲンキ「…行こうぜ、皆。」
一同「うん!」
…そうして、一同はチャッキーのいる方へ、歩いて行った。
サンダー「…そうだね、気のせい…だよね。」
サンダーは、そう呟くと、皆の後に付いて行った。
オルト「…サンダー。…オマエが嫌な予感がしたってんなら、オレは信じる。…だから、そんなにすぐに考えを撤回すんな。」
オルトは、サンダーの耳元でそう囁いた。
サンダー「…オルトロス……ありがとう。」
オルトは、サンダーの答えを聞くと、優しく笑って、サンダーと一緒に、一同の後を追った。

一同は、チャッキーのそばに駆け寄ってた。
グミ「チャッキー、何して遊ぶの~?」
チャッキー「そうだなぁ~…じゃあ、捕まえごっこ。」
一同「…え?」
…すると、一同の上から檻のような物が降ってきて、一同は捕まってしまった。
サンダー&オルト「!!皆!」
サンダーとオルトは、警戒をして、あまりチャッキーに近づかずにいたので、助かっていた。
チャッキー「アハハハハハハハ。…本当、話に聞いたとおりのお人好し集団だねぇ。」
チャッキーは、笑いながらそう言った。…そして、縞々の三角帽を被った。
チャッキー

スエゾー「ワルモンの紋章や!!」
…そう、その帽子には、ワルモンの紋章が付いていた。
サンダー「フゥ゛~~~~~~~。」
サンダーは、唸って、チャッキーを威嚇している。…オルトも、チャッキーを睨んでいる。
チャッキー「やだなぁ。そんなに威嚇しないでよ。…それよりさ、ゲームしようよ。」
オルト「…ゲーム?」
サンダー「…どんな?」
チャッキー「……缶蹴りだよw」
チャッキーは、ニッコリと笑って言った。
オルト「缶蹴り?」
チャッキー「そう。…ぼくがオニをやるから、君らは隠れて。…そして、ぼくの目を盗んで、この缶を蹴るんだ。」
チャッキーは、何処からか缶を取り出して言った。
サンダー「……一応、ルールは知ってる。」
チャッキー「…じゃあ、話は早いね。…この缶を蹴飛ばせられたら、君らの勝ち。…でも、もしも君らがどちらか片方でも見つかってしまった場合は、君らの負け。…それで良い?」
オルト「あぁ、良いぜ。」
サンダー「…じゃあ、おれらが勝ったら、皆を檻の中からだせよ。」
チャッキー「うん、良いよ。…でも、ぼくが勝ったら、君らはみ~んな、ぼくの玩具になるんだ。…いいね?」
サンダー&オルト「いいぜ。」
チョコ「サンダー!」
チョコモンは、心配そうな顔で言った。
サンダー「大丈夫。…ようは見つかんなきゃ良いんだろ?」
サンダーは、ニッと笑って言った。
ホリィ「だめよサンダー!…もし、もしも負けたら…!!」
サンダー「大丈夫。…おれ、かくれんぼは得意分野だからさ♪」
サンダーは、ニッコリと笑って言った。

チャッキー「じゃあ、10数えたら行くからね~!」
サンダー&オルト「…分かった。」
サンダーとオルトはそう言って、チャッキーが数え始めると、森の中に隠れて行った。
ニナ「…大丈夫かしら…サンダー。」
グミ「モ~マンタイ、ニナ。…サンダーは、かくれんぼすると~、いっつもオニが降参するまで見つからないんだ~。…だから、大丈夫だよ~。」
ホリィ&ニナ「…そう…なら、いいんだけど…。」

…そのすぐ後、チャッキーが10数え終わった。
チャッキー「よ~し、いくぞー!!」
チャッキーは、そう言って辺りを見回した。…しかし、何も動く気配は無い。…チャッキーが、少し缶を離れると、少し離れたところで、葉っぱの擦れあう音が聞こえた。…そして、チャッキーはその音がするほうへ走って行った。…その直後…
 「カ――ン!」
そんな音とともに、缶が吹っ飛んだ。…そう、オルトが缶を蹴り飛ば(体当たり)したのだ。
チャッキー「なっ……あれは囮!?」
チャッキーがそう言うと、チャッキーが向かっていたのとは違うところから、サンダーが出てきた。
サンダー「…GAME・CLER…だね。」
チャッキー「お前は、あっちに居たんじゃ…!」
チャッキーは、向かおうとしていた場所を指差して言った。
サンダー「…え?…そっちには、誰も居ないよ?」
サンダーは、ニヤリと笑いながら言った。
ホリィ「え…どういう事?」
オルト「…ようするに、オレとサンダーは同じところに居て、サンダーは遠くの枝を、念で動かしていた。…そして、チャッキーがその誰も居ないところへ向かっている隙に、オレが缶を飛ばしたってワケさ。」
サンダー「…ま、そう言うことで、缶はちゃんと飛ばしたんだ。…だから、おれらの勝ち。…早く皆を放してよ。」
…サンダーがそう言うと、チャッキーは高笑いをした。
チャッキー「…ぼくが、そんな約束を守るとでも思った?…君らは、ぼくの玩具になる運命なんだよ!!」
チャッキーは、そう言うと、何処からかカミソリを取り出し、それを振り上げた。
サンダー「…何となく、そんな気もしなくはなかったけどね。」
サンダーはそう呟くと、チャッキーに体当たりをして行った。…すると、そんなサンダーに、カミソリが振り下ろされた。
一同「サンダー!!
ホリィ「いやああああ!!!
ライガー「チャッキー…貴様ぁ!!」
チャッキー「…ぼくが負ける、なんてこと…あっちゃイケナイんだ!!…サンダー、君はぼくの玩具になるんだ。君はそう言う運命なんだよ!!」
チャッキーはそう言って、自分の足元にぐったりとして倒れているサンダーを、一同の居る檻のほうに蹴り飛ばした。
チョコ「サンダー!サンダー!!」
チョコモンは、泣きながらサンダーの名前を呼んでいる。
サンダー「…く…泣くなよ…チョコモン……ほら。」
サンダーはそう言って、いつの間にか尻尾に持っていた鍵を、チョコモンに渡した。
チャッキー「その鍵は!!…無い!檻の鍵が!!……サンダー、いつの間にそれを…。」
サンダー「…お前に…切られた時。」
チャッキー「なっ……!」
グミ&アメ「(掏ったな、コイツ…;)」
チャッキーや一同が驚いてる中、グミモンとアメモンは、呆れながらそう思った。
チョコモン「…取敢えず、ありがとう、サンダー。」
…チョコモンは、そう言って檻の鍵を開けようとした。…が、チャッキーのカミソリが飛んできて、チョコモンの持っていた鍵を弾き飛ばした。
チャッキー「ダメだよ、そこを開けたりなんかしちゃ。…そんな事したら、サンダーがぼくの玩具にならなくなっちゃうじゃないか。」
チャッキーは、そう言ってサンダーに近づき、サンダーの尻尾をつかんで、サンダーを投げ飛ばした。…すると、サンダーは、木に思いっきりぶつかった。
ギンギライガー「サンダー!!」
ライガー「…っ貴様ぁ!!」
オルト「…のやろぅ…『マハラギ』!!」
オルトは、そう言って、チャッキーに大きな炎の玉を放った。
チャッキー「『ソニックブーム』!」
チャッキーは、そう言って、向かってくる炎の玉に、風の刃を放った。…すると、大きな炎の玉と、風の刃は消えた。
アメ「…チョコ!まだ開かないのか?!」
チョコ「ちょっと待ってよ!…後ちょっと…。……開いた!!」
檻の扉が開いたと同時に、ライガーが勢い良く飛び出して行き、チャッキーに飛び掛った。
ライガー「『雷撃』!!」
ライガーは、チャッキーに雷撃を放った。…それは、見事にチャッキーに当たった。
チョコ達「サンダー!!」
一同は、サンダーのところへ駆け寄った。
ニナ「大丈夫?!サンダー!!」
ホリィ「ヒドイ怪我…。待ってて、すぐに手当てしてあげるから…!」
ホリィは、そう言って、サンダーに応急手当をし始めた。
チャッキー「…だめだよ、手当てなんか。…そんな事したら、サンダーは逃げちゃうだろ?…『サーカスファイア』!」
チャッキーは、そう言って、口から炎を吐いた。
一同「!!!」
サンダー「…(おれが皆を守んなきゃ…おれは、その為に創られたんだ…!)『カミカゼバリアー』!!」
サンダーは、心の中でそう言って、光のバリアをはって、炎を防いだ。
オルト「…サンダー……バカ。…無茶してんじゃねぇよ。」
サンダー「ヘーキだよ。このくらい…。」
サンダーは、笑って言った。
ギンギライガー「オルトの言うとおりだ、サンダー。…少し休んでいて。」
サンダー「…うん…。」
チャッキー「そうそう。…あんまりムチャして、死んでもらっても困るしね。…サンダーは、ぼくの大事な玩具なんだから…。」
チャッキーは、笑いながら言った。
オルト「……いい加減にしろよ。サンダーはモノじゃねぇ。…ましてや…テメェのオモチャなんざじゃねぇ!!」
オルトは、チャッキーに向かって怒鳴った。
チャッキー「…うるさいなぁ。『サーカスファイア』!!」
チャッキーは、そう言って口から炎を吐いた。
ギンギライガー「『ブリザード』!!」
ギンギライガーは、チャッキーの吐いた炎に向かって、ブリザードを放った。…すると、その炎は消えた。
モッチー「モッチー!!」(『モッチ砲』)
ホッパー「ホッパー!!」(『ホッパーロール』)
モッチーとホッパーは、チャッキーに向かって、モッチ砲とホッパーロールを放った。
チョコ達「『トリプル・エレメンツ』!!」
チョコモンとグミモンとアメモンは、それぞれ、氷と炎と雷を同時に放ち、それをあわせてチャッキーに放った。
チャッキー「うわぁぁぁぁ!!」
…チャッキーは、ロストした。



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